養護盲老人ホームとは
養護盲老人ホームとは
実際の養護盲老人ホームの
様子をご覧いただけます
●養護盲老人ホームは、視覚又は聴覚に障害のある入所者の数が入所者の7割を超える養護老人ホーム
●養護盲老人ホームの主な特徴
視覚障害者の特性に応じた職員配置
*一般養護老人ホームにおいては、晴眼者中心の処遇となりがちであり、視覚障害者にとって精神的な安定感が得られない声が強いこと。
*視覚障害のある高齢者が自立した生活が送れるよう支援していく上で、視覚障害者に配慮された設備や環境の下で点字の理解や歩行訓練の指導などに係わる専門性が必要なこと。
平成18年4月の介護保険法及び老人福祉法等の改正により、養護老人ホームの入所者が、介護保険の居宅サービスの利用が可能。
併せて、養護老人ホームが「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けることが可能。
平成22年3月5日付「全国主管課長会議」資料より
平成27年4月から運営基準の改正により「一般型特定施設入居者生活介護」(内包型)の選択が可能。
平成27年3月2日付「全国担当課長会議」資料より
●視覚障害については、「身体障害者福祉法により交付を受けた身体障害者手帳の障害の程度が1級又は2級もしくは、これに準ずる視覚障害の状態にあり、日常生活におけるコミュニケーションや移動等に支障が認められる視覚障害を有する者」となっている。
※障害の程度を1級又は2級に限るなど、画一的な取扱いとならないよう、対象となり得る者の健康状態や家族・住居の状況等が総合的に勘案されること。
※聴覚障害についての取扱いも、準ずること。
●養護盲老人ホームは、その専門的な配慮が行われている施設であるので、障害のある者の優先的な入所に努めること。
※多くの施設において、手すりの設置等の視覚(聴覚)障害に配慮した設備整備、生活相談員、支援員及び看護職員等の人数が一般養護老人ホームより多く基準配置されている。
厚生労働省老健局長通知(平成18年3月31日老発第0331028号)
●養護老人ホームへの入所要件については、「身体上若しくは精神上」の理由を有する者を入所の対象外とするものではないこと。
※介護や同行援護等を必要とする者に対しても、上記のように視覚障害等に配慮した設備や職員体制等を踏まえ、適切な入所を行われたい。
平成24年4月19日付「各都道府県・指定都市・中核市民生主管部(局)」宛
厚生労働省老健局高齢者支援課通知「盲養護老人ホームの運営について」より
■施設整備における設置基準は、一般の養護老人ホームと同じですが、全国の養護盲老人ホームに共通して配慮されている専門的ハード面があります。
それは、①「絶対的な安全の確保」であり、②専門性を兼ね備えた「入居者の動線の確保」です。
たとえば、転落防護柵の設置や段差を出来る限り排除した構造、そして通路には物を置かない配慮等です。また、シンプルな施設構造、切れ目のない手すりの配備や、誘導チャイムや点字ブロックの敷設、誘導ロープの設置、カラーコントラストの施工、ランドマークによる印象付けなどがあります。
■盲老人にとって、白杖等に頼ることなく、安心して手すり歩行や歩行器・車椅子等でどこへでも移動できる空間を保障されることは、大変意義のあることで、盲老人の自立(単独)歩行を可能にし、行動半径を拡大することが、歩行運動(散歩)による老化防止、健康維持、食欲の増進へとつながり、「盲目でも一人で安心して歩ける」という生活の豊かさが実現され、まさに自立生活の援助と言えます。ただし、これは単なる設備の整備だけでは成り立たず、「ここは絶対安全な施設である」という施設や職員と入居者の深い信頼関係で成り立っています。
さらに、入居者の聴覚を大事に考えた環境づくりやプログラムチャイム設備、音声時計等による時間帯の把握、有線放送設備の活用や完全防音の専用録音室を持つ施設もあります。
施設の種類 | 目的 | その効果 |
---|---|---|
転落防止柵 | 危険防止 | 安全な環境 |
スロープ | 危険防止 | 苦手な段差解消 |
手すり | 自立歩行 | 自立・移動 |
誘導ロープ | 自立歩行 | 自立・移動 |
遊歩道(香りの花園) | 自立歩行 | 健康促進 |
点字ブロック | 位置確認 | 自立・移動 |
誘導チャイム・誘導鈴 | 位置確認 | 自立・移動 |
ランドマーク | 位置確認 | 自立・移動 |
施設内点字案内図 (触覚地図) |
位置確認 | メンタルマップ支援 |
カラーコントラスト施工 | ロービジョンケア | 残存視力の活用 |
放送設備・ プログラムチャイム |
情報収集 | 聴覚による理解 |
高品質音響設備 | 聴覚娯楽 | 豊かな生活 |
有線放送設備 | 聴覚娯楽 | 豊かな生活 |
完全防音録音室 | 聴覚娯楽 | 豊かな生活 |
●中途失明者は、住宅での完全な自立はほぼ不可能な状況にあります。むろん精神的ダメージが大きく不安定な状態に陥るケースが多々あると伺えます。当事者に対する精神面への援助、また介護者への負担軽減と在宅生活のできる限りの継続を図るため、身辺自立に向けての訓練、支援を「短期入所事業」を通じて行っています。
●視覚障害者専門ホームヘルパー、ガイドヘルパー、またボランティアの養成に、専門施設としての立場からアドバイス、講演、実習を通じて知識、技術を提供しています。
●他施設に在籍する盲老人のサービス提供に関し、ノウハウの指導、助言を行っています。
●視覚障害者諸団体との交流を通して、高齢化問題についての情報交換を行っています。
●盲老人援助技術講習会(介助歩行等)を開催しています。
●在宅盲老人、家族に対する援助相談及び様々な情報提供を行っています。